
家あってあたりまえでしょ
プロジェクト
家賃を払えなければ、寒い路上で夜を過ごさなければいけない。危険な目に遭いながら見知らぬ人の家を渡り歩かなければいけない。そんな理不尽な現状を変え、全ての人に住居が保障される社会を目指し、NPO法人POSSEに関わる10〜20代の若者で立ち上げたプロジェクトです。
家があって当たり前の社会の実現を目指す
安心して過ごせる住居は、誰にでも保障されるべき権利です。しかし現実には、家族からのDVや失業によって突然住む場所を失い、行政の支援に繋がることができないままネットカフェや見知らぬ人の家を渡り歩く若者が数多くいます。福祉行政の窓口で支援を求めたにも関わらず追い返され行き場を失った人からの相談も、毎日のように寄せられています。
支援活動に携わってきたZ世代はこうした状況に危機感を抱き「家があってあたりまえでしょプロジェクト」を立ち上げました。雇用の調整弁として解雇され、家賃が払えなくなったら追い出され、行政の支援からもこぼれ落ちる。こうした理不尽な社会を、私たちは許しません。私たちは、このプロジェクトを通し、全ての人に「家に住む」という当たり前の権利が保障されることを求め、行動を起こしていきます。
実家でDVを受けている・家から追い出されたという
相談の増加
POSSEにはいま、「安心して住める家がない」という若い世代からの相談が増えています。特に、仕事ができない状態で実家を追い出され行き場を失うケースや、十分な収入がないため虐待のある実家から抜け出せないケースが多く見られます。
20代男性、Aさんのケース:
もともと接客業で働いていたが、パワハラを受けてうつ病になり、退職。その後は体調の良い時にアルバイトをしながら実家で生活していたが、先月実家を追い出された。現在はネットカフェに滞在している。
20代女性、Bさんのケース:
幼い頃から、父親に言葉による暴力を受けている。気に入らないことがあると怒鳴られるため、家にいるときはいつもびくびくしながら過ごしている。専門学校を出て栄養士になったが、虐待による精神疾患が原因で体調が安定せず、フルタイムで働くことができない。精神疾患の治療のためにも実家を出たい。
・若者の「見えないホームレス化」
日本社会では、これまで「福祉に頼る前に、まず家族で支えあうべき」という「自助・共助」が呼びかけられてきました。その足元で、家族の元に居られない若者たちが公的支援の網の目からこぼれ落ちています。
その結果、若者たちの「見えないホームレス化」が進行しています。公的な住宅保障が不十分であることに加え「家族による支え合い」が崩壊していることで、家族との関係悪化=ホームレス化に直結してしまうのです。彼らの多くが、虐待に耐えながら実家に留まることを余儀なくされたり、家を追い出された先でネットカフェを転々としています。
・早めに公的支援につなげることが急務
支援に繋がらなければ、状況は悪化していくばかりです。私たちの相談窓口にも「ネットカフェ生活を3週間続けたら、栄養失調によるめまいで立っているのもしんどくなった」「実家で毎日暴言を吐かれ、うつ病が悪化している」といったSOSの声が寄せられています。
・「公的支援を活用する」という選択肢を提示する
彼ら彼女らがネットカフェを転々としたり、虐待に耐えながら実家にとどまらざるを得ない背景には、「お金がなければ、住む権利が保証されない」今の社会の問題があります。そして、当事者の中には、こうした貧困状態に対応した公的支援があることを知らない人も多くいます。
そこで、私たちはLINEなどで気軽にアクセスできる若者向けの相談窓口を開設し、公的支援制度を活用して虐待から抜け出し一人暮らしを始める方法を周知します。また、申請同行などを通じて権利の「使い方」を共有していきます。